千の夜をあなたと【完】
3.分かれた道
8月。
陽の光が道路や街路樹に燦々と照りつけている。
レティはライナスとともに、家への道を歩いていた。
……少し前。
二人はオーラフに呼ばれ、居城へと向かった。
謁見室に入るとすぐ、オーラフが姿を現した。
『リュシアンの情報が入った。どうやらコルウィンにいるらしい』
オーラフの言葉に、レティは驚き目を見開いた。
オーラフは二人の顔を見ながら続けて言う。
『今はちと忙しいから、来月になったらコルウィンに行ってみよう。俺も別件で用事があるしな』
『わかりました、よろしくお願いします!』
レティは声を弾ませて言った。
しかし、なぜリュシアンはコルウィンにいるのか。
何か理由があるのか……。
けれど会えるのなら、嬉しい。
久しぶりに心が浮き立つのを感じたレティだったが、続いた言葉にその気分は一瞬で吹き飛んでしまった。