千の夜をあなたと【完】
「なんであたし、もっとちゃんと確かめなかったんだろ……」
レティはソフィアの手を握りしめ、ぐっと目を瞑った。
あの時もっと注意していればこんなことにはならなかったのに……。
後悔で胸が押しつぶされそうになる。
レティはソフィアの手に額を押し付け、呟くように言った。
「なんで……あたし……」
――――胸が、痛い。
じわりと目尻に涙が滲んでくる。
しかしそんなレティの隣で、イーヴはあっさりと言った。
「なんでって。……そりゃお前が馬鹿だからだろ?」
「…………」
――――容赦ない伯爵様のお言葉。
その言葉はぐさっとレティの胸に突き刺さった。
ただでさえヘコんでるのに、さらに傷を深めるようなことを言わなくても……。
と涙目になるレティに、イーヴはその美しい瞳を細めて笑った。