千の夜をあなたと【完】
<side.イーヴ>
秋の夕暮れ。
夕陽に染まる部屋の中、イーヴはエインズワースからの書簡を広げていた。
その書簡にはイーヴが待ちに待った情報が載っていた。
「ついに現れた、か……」
書簡には、『諸島の王』とともに『氷眼の狂剣士』がコルウィンにいると書かれていた。
コルウィンまではここから馬で飛ばして4日ほどだ。
――――ついに、あの男に対峙できる。
イーヴはこの一年半、その時間のほとんどを男を斃すために費やしてきた。
エティスに剣と毒物を習ったり、自分の小隊を鍛えたり……。
今度こそは絶対に逃がさない。
レティの仇を、この手で取る。
イーヴはその唇に笑みを刷き、書簡を机に置いた。
「ゼナス!」
「はっ、イーヴ様」
「明日、小隊とともにコルウィンに向けて出発する。準備を整えておけ」
「はっ、畏まりました」