千の夜をあなたと【完】
イーヴは作業机の引き出しから鍵を取り、その一番下の棚を開けた。
その棚に入っているのは、全てエティスから教えてもらったレシピで調合した毒薬だ。
毒薬と言っても数種類あり、使用用途と効果はそれぞれ違う。
クリーム状のもの、液体状のもの、焚いて使うもの……
『剣も毒薬も、使い道次第で善にも悪にもなる』
エティスの言葉を思い出し、イーヴはぐっと唇を噛みしめた。
自らの剣技に自信がないわけではない。
けれど今回の目的は、あの男に勝つことではなく、殺すことだ。
そのためであれば、より確実な手段を取った方がいい。
例え卑怯だと謗られようと、しなければならないことがある。
イーヴはそのうちの一つを手に取り、そっと棚を閉めた。
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