千の夜をあなたと【完】
8.愛と憎しみ
会食の間に戻ったレティは、ライナスに引きずられるがまま自分の席に戻った。
手や肩が震え、力が入らない。
一体、何がどうなっているのかわからない。
なぜイーヴがここにいるのか。
そして……。
「……っ……」
あの、昏く鋭い怒りに満ちたイーヴの視線……。
レティはイーヴのあんな表情を見たことはない。
思い出すだけで背筋が強張る。
肩を震わせるレティの横で、ライナスも無言で宙を見据えている。
その蒼い瞳にはいつにない鋭さが漂っている。
ライナスは虚空を見据えながら言った。