千の夜をあなたと【完】
「レティ。……もう少ししたら、ここを出るぞ」
「……ライナス?」
「この会食、あの男が仕組んだことだとしたら……恐らく、狙いはおれとお前だ」
レティはその言葉に目を見開いた。
……よくわからない。
けれどライナスには何かがわかっているらしく、ライナスはレティの顔をじっと見つめ、言った。
「ここを出たら、港に行く。港に着いたらすぐに出航だ」
「……っ……」
「お前もそのつもりでいろ。いいな? レティ」
有無を言わさない声。
いつにないライナスの強い言葉に、レティは茫洋としたまま軽く頷いた……。