千の夜をあなたと【完】
<side.イーヴ>
二人が去った後。
イーヴは唇を噛みしめたままその場に立ち尽くしていた。
――――レティが、生きていた。
その事実はイーヴにかつてない衝撃を与えた。
この一年半、叶わないと思いながらも、ずっと夢見てきたこと。
レティを見たあの瞬間。
イーヴは目の前の光景が幻ではないかと思った。
しかし、廊下でレティの腕を掴んだ時……。
これは幻ではないと、レティは生きて自分の前にいるのだと確信した。
その瞬間、抑えきれない喜びがイーヴの胸に溢れだした。
――――しかし。