千の夜をあなたと【完】




イーヴは廊下を抜け、裏の兵舎で待機していた小隊に指示を出した。

ブラックストンの鎧を着た兵達が屋敷の至る所へと散らばっていく。

イーヴはそれを確認し、踵を返した。


と、その時。


「……ん?」


門の辺りに見覚えのある姿を見つけ、イーヴは眉を上げた。

何人かの伴とともに褐色の髪の青年が門をくぐり屋敷の方へと歩いていく。

イーヴは驚きのあまり眉を上げた。


「……リュシアン?」


なぜリュシアンがここにいるのか?

と息を飲んだイーヴに、リュシアンも気付いた。

驚きの表情でイーヴのもとへと歩み寄る。


「リュシアン、お前……生きていたのか!」


と叫ぶように言ったイーヴに。

リュシアンも驚いたように声を上げた。



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