千の夜をあなたと【完】




「お前……イーヴだよな? ……雰囲気変わったな、お前」

「……」

「しかしどうして、ここにいる? なぜ、ブラックストンのお前が……」


リュシアンはその緑の瞳でじっとイーヴを見る。

その探るような瞳は以前のリュシアンとは違い、思慮深さを滲ませている。

イーヴはひとつ息をつき、自分がここに来た理由とライナスとレティのことを話した。



―――― ひと通りの話が終わった後。

リュシアンは腕を組み、屋敷の方を見た。

どうやら行方不明になっていた間にリュシアンにもいろいろあったらしい。


「……亜麻色の髪の男。お前もオレも、目的は同じというわけか……」


リュシアンは顔を上げ、イーヴと視線を合わせた。

真っ直ぐな、どことなく鋭い瞳でイーヴを見つめる。


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