千の夜をあなたと【完】




「……お前、その剣技、どこで習った?」


ライナスは立て続けに切り込みながら言う。

その剣筋には迷いがなく、鋭い。

イーヴはライナスの剣を全て受け、流していく。

その流れるような動きを、レティは目を見開いたまま見つめていた。

一年前とは全く違う、イーヴの剣技。

それは強く、しなやかで……けれどどこか禍々しいものを感じる。


「お前のその剣技。……普通の剣技ではないな。暗殺剣か?」


ライナスの言葉に、レティは息を飲んだ。

しかしイーヴは動じた様子もなく、次々と剣を繰り出していく。

一年半前のイーヴとはまるで別人のようだ。


「その剣技は人を血に魅入らせる。一人でも人を殺せば、歯止めは効かん」

「……」

「お前はまだ人を殺したことはない。だが人を手に掛けた瞬間、お前はその剣技で身を堕とすだろう」



< 318 / 514 >

この作品をシェア

pagetop