千の夜をあなたと【完】
「……お前、その剣技、どこで習った?」
ライナスは立て続けに切り込みながら言う。
その剣筋には迷いがなく、鋭い。
イーヴはライナスの剣を全て受け、流していく。
その流れるような動きを、レティは目を見開いたまま見つめていた。
一年前とは全く違う、イーヴの剣技。
それは強く、しなやかで……けれどどこか禍々しいものを感じる。
「お前のその剣技。……普通の剣技ではないな。暗殺剣か?」
ライナスの言葉に、レティは息を飲んだ。
しかしイーヴは動じた様子もなく、次々と剣を繰り出していく。
一年半前のイーヴとはまるで別人のようだ。
「その剣技は人を血に魅入らせる。一人でも人を殺せば、歯止めは効かん」
「……」
「お前はまだ人を殺したことはない。だが人を手に掛けた瞬間、お前はその剣技で身を堕とすだろう」