千の夜をあなたと【完】
「やめて、もう……」
「……っ、レティ……」
「お願いだから、もう……」
と、レティが言った時。
レティの後ろでドスッと音がした。
そう、何かが体に突き刺さるような……。
その音に振り返ったレティは、目の前に広がる光景に呆然とした。
ライナスの胸に……
――――剣が、突き立っている。
そして、その剣を握っているのは……。
「リュシアン!?」
レティの叫びとともに、ライナスが地面に倒れる。
……その血の気の引いた顔、血に濡れた亜麻色の髪……。