千の夜をあなたと【完】
<side.オーラフ>
オーラフは会食の間でクロフト男爵と歓談していたが、外が騒がしいことに気付き、眉を顰めた。
立ち上がり、窓の外から門の方を見る。
そして、窓の外に広がる光景に息を飲んだ。
門の近くで倒れているライナスと、その横で金の髪の男に抱きかかえられているレティ。
ライナスの胸には剣が刺さっている。
オーラフは血の気が引いていくのを感じた。
とっさに踵を返し、廊下からホールを抜けて門の方へと向かう。
と、玄関を出たところで。
レティを抱いた金の髪の男とすれ違った。
男はぐったりしたレティを抱き抱え、廊下の方へと歩いていく。
オーラフはとっさに男を呼び止めようとしたが、ライナスの確認が先だ。
オーラフはライナスのもとへと走り寄った。
――――血溜まりの中、ライナスは倒れていた。
その胸には小ぶりな剣が突き刺さっている。
ライナスの隣には褐色の髪の青年が跪き、じっとライナスを凝視している。