千の夜をあなたと【完】
「……っ、う……あぁっ……」
もう、ライナスはいない……。
レティは顔を両手で覆い、嗚咽した。
そんなレティにオーラフが言う。
「事情は皆から聞いた。お前の兄がライナスを殺したのも、仕方がないことだとは思う。だがオレもまだ、整理しきれていない……」
「……」
「オレ達は明日の昼、出航する。ライナスはコルウィンの沖で海に還す予定だ。……お前は、どうする?」
オーラフの言葉にレティは目を見開いた。
自分はこれから、どうすればいいのだろう……。
オーラフはレティの肩にポンと手を置き、言った。
「もし一緒に来るなら、昼までに桟橋に来い。わかったな?」
「……」
オーラフは言い、ゆっくりとドアの方へと歩いていく。
レティは涙に濡れた瞳でその後ろ姿を見つめていた。