千の夜をあなたと【完】
イーヴはくっと笑い、天井を仰いだ。
レティが憎い。
けれど……
どうしようもなく、レティが欲しい……。
自分だけを見ろと。
ひとかけらでもいいから、お前の気持ちが欲しいと……
そう、叫びたくなる……。
愛と憎しみ。
相反する気持ちがイーヴの中でせめぎ合う。
イーヴは大きなため息をつき、ゆっくりとベッドから立ち上がった。
身支度をし、レティの部屋へと向かう。
あれからイーヴはレティとは会っていない。
昨日、イーヴは気を失ったレティを客室に運び、服や食事を置いて部屋を出た。
レティの傍に居たら自分が冷静になれないとわかっていたからだ。
正直、何をどう話せばいいのかわからない。
けれどもう……レティを離すことはできない。
それが憎しみでも、愛でも……。
イーヴがレティに向ける気持ちは既に魂に刻まれている。