千の夜をあなたと【完】
イーヴは嘲るように言う。
レティはかっと目を見開いた。
ライナスは衣食住は何不自由なくレティに与えてくれた。
イーヴはそんなレティを青い瞳でじっと睨み、口を開く。
「この髪も、手も、肌も。……無残だな」
「……っ……」
「昔も淑女とはとても言えなかったが、今よりは遥かにマシだったな。お前がここまで身を落とすとは、思ってもみなかったよ」
イーヴはうっすらと嗤い、前髪をかき上げてレティを見下ろす。
その憎しみと怒りに満ちた表情に、レティの胸が軋むように痛む。
どうしてイーヴは、こんな表情を自分に向けるのか……。
レティはその表情に、心の奥が凍っていくような気がした。
「こんなになるまで、なぜ連絡しなかった? それだけあの男が良かったということか?」
「……っ」
「まぁいい。確かめてみればわかる」
イーヴは言いながら、レティの足を無理やり開かせた。
レティの顔から血の気が引く。
そして足の間に触れた感覚に、レティは息を飲んだ。