千の夜をあなたと【完】
<side.イーヴ>
自らの体の下に横たわる、レティの躰。
イーヴは昏い怒りに翻弄されるように、自身を強引にレティの体に押し込んだ。
全く解されていないそこは、イーヴにとっても痛い。
けれど、この痛みが自分の心の痛みなのだと……。
憤りの中、無意識のうちにそれを体で伝えようとしたのかもしれない。
自分がしたことの非道さはイーヴ自身もわかっている。
――――愛の裏返しの、憎しみ。
そして耐えられない哀しみ。
それが、こんなにも辛く身を焼くものだとは思わなかった。
自分は、生きながら悪魔になってしまうのかもしれない。
もう、自分の前に神はいない……。
愛が強ければ強いほど、憎しみも深くなる。
気が狂いそうな憎しみの中、イーヴは思った。
――――こんなに辛いなら、もう我慢してもしなくても同じだ。
それなら、いっそ……。
心が無理なのなら、体だけでもいいから手に入れたい。