千の夜をあなたと【完】
レティに憎まれてもいい。
心が手に入らないなら、せめてレティの心に一生消えない傷をつけたい。
自分を一生、忘れないように……。
イーヴは自らの下に横たわるレティを見つめた。
レティは目を見開き、呆然と宙を見つめている。
その顔からは血の気が引き、蝋のように白くなっている。
イーヴはレティの顔から目をそらすように、繋がっている部分を見た。
――――その瞬間。
イーヴの顔から一気に青ざめた。
シーツの上に赤い血が散っている。
繋がった部分から流れ出るそれは――――純潔の証だ。
「……っ!!?」
レティは涙を流しながら宙を見つめている。
その瞳には何も映していない。
イーヴはとっさにレティの顎を掴み、自分の方へと向けさせた。
「お前っ、まさか……」
「……」
「あいつとは……何も……?」