千の夜をあなたと【完】
その表情もその瞳も、昔と全く変わらない。
――――イーヴの知っている、レティだ。
初めて会ったあの時から……
ずっと心の中にいた、愛しい人。
イーヴの胸に熱いものが突き上がる。
その激情のまま、イーヴはレティの背をかき抱いた。
「レティ……レティ……っ!!」
切羽詰まった声で叫びながら、イーヴはレティを抱きしめる腕に力を込めた。
レティは何か言いかけたが、イーヴは構わず抱きしめた。
その華奢な躰も、汗に滲んだ栗色の髪も、涙の滲んだ褐色の瞳も……
全てがイーヴの心を惹きつけ、離さない。
愛しさが波のように胸に溢れる。
それはこれまでにない強さでイーヴの心に広がり、イーヴ自身にも抑えきれない衝動が全身に広がった。
イーヴはレティの頬を両手で掴み、口づけた。
――――初めての口づけ。