千の夜をあなたと【完】
「まあ、いずれは戦いになるのかもしれませんが。少なくとも今のところは穏健路線のようです」
「穏健、ねぇ……」
「そういえば、今、巷で話題になっている『氷眼の狂剣士』ももとは諸島の王の関係らしいですよ?」
エスターの言葉に、レティは驚いて顔を上げた。
……先日もその話を聞いた気がする。
残虐非道な剣士の噂。
イーヴはエスターの言葉に、青灰の瞳を細めて皮肉げに笑った。
「氷眼の狂剣士、ね。……ホントにいるの、そんな奴?」
「実際に殺戮をしているのかは別として、凄腕の剣士が諸島の方から流れてきたというのは事実のようです」
エスターの言葉に、イーヴはしばし考え込んだ。
やがて軽く首を振り、口を開く。