千の夜をあなたと【完】
確かにイーヴは『後で服と食事を用意する』と言っていた気がする。
けれど、こんなに豪勢な物を用意されるとは思ってもみなかった。
「……」
レティは椅子に座り、リゾットにスプーンを伸ばした。
どれも口に入れるのは一年半ぶりだ。
レティは一口食べ、スプーンを止めた。
なぜか、目が熱くなる。
「……おいしい……」
食事はどれもティンズベリーにいた頃、レティが好んで食べていたものだ。
イーヴはそれを知っていたのだろうか。
自分が知らないところで、イーヴは自分をずっと見てくれていたのだろうか。
『初めて会った時から、ずっとお前を忘れられなかった』
昨日の夜のイーヴの言葉がレティの脳裏に蘇る。
それは熱い波のようにレティの心に染みていく。
レティは潤んだ目を細め、スプーンを再び動かし始めた……。