千の夜をあなたと【完】
「そういえば、まだ聞いてなかったな。お前はこの一年半、どう暮らしてた? 詳しく聞きたい」
リュシアンの言葉に、レティもそうだったと頷いた。
……むしろ先にこちらを確認すべきだろう。
レティとリュシアンは、それぞれの身に起こったことをかいつまんで説明した。
――――30分後。
それぞれの事情を話し終えた二人は、顔を見合わせてはぁとため息をついた。
リュシアンは腕を組み、まじまじとレティを見る。
「大変だったな、お互い……」
「……そうだね……」
「しかも兄妹揃って家事三昧って。もともとオレ達、そういうのに向いてるのかもな?」
リュシアンの言葉にレティはくすりと笑った。
見ると、リュシアンの手も宿屋での家事で多少荒れている。
「しかしまさか、お前があの男と一緒に暮らしていたとはな。そりゃイーヴも殺したいって思うだろうよ」
「…………」