千の夜をあなたと【完】



夕陽が窓の外の木々を赤く照らしている。

レティは窓辺に立ち、窓の外に広がる景色を眺めていた。

その右手にはライナスの形見の髪が入った小さな袋がある。


「ライナス……」


レティは形見の袋をじっと見つめ、呟いた。

――――あれから、4日が過ぎた。


ライナスの死とともにレティを取り巻く環境は一転した。

今のレティの生活はティンズベリーにいた頃とほとんど変わらない。

いや、ひょっとしたら前以上の生活かもしれない……。

レティは部屋の中を見渡した。

部屋の中にはレティが好きなお菓子や花、服、そして本などが所狭しと溢れている。


「……」


あれからイーヴは毎日、レティの好きなものをメイドを通して贈ってくるようになった。

ティンズベリーにいた頃にはそんなことはまずなかったのに……。

かろうじて誕生日にプレゼントをくれたくらいだ。

なのに今は……。


訳が分からず、レティはリュシアンに相談してみた。

するとリュシアンは事もなげに言った。



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