千の夜をあなたと【完】
『好きな女に物を贈りたい、喜ばせたいって思うのは、男なら普通のことだと思うけどな?』
『……そうなの?』
『ティンズベリーにいた頃は居候の身だったから控えていたんだろう。今は伯爵としての本領を発揮してるってとこだろうな?』
リュシアンは楽しげに笑いながら言った。
これら全てがイーヴの気持ちだと思うと、嬉しいには嬉しいが……。
正直、戸惑ってしまう。
『あとは……まぁ、あいつに対抗したいって気持ちがあるんだろうな……』
『……え?』
『お前は一年半、あいつに養われてたわけだろ? 男としてのプライドというか、そういうのもあるんじゃないのか?』
リュシアンの言葉に、レティは首を傾げた。
……よくわからない。
しかし、これらの贈り物にイーヴの気持ちが込められていることはレティにもわかる。
レティは山のように積まれた絵本を一冊手に取り、椅子に座って読み始めた。