千の夜をあなたと【完】
レティももちろんイーヴと一緒にいたいという気持ちはある。
この数日間でレティの心はしだいにイーヴに引き寄せられていた。
――――失ったと思った恋。
レティの心の奥底で眠りかけていた恋。
けれどイーヴはそれを力づくで呼び戻した。
そして今、イーヴはこれまでにない情熱で自分を奪おうとしている。
毎晩のようにレティを抱き、その情熱をレティの体に刻みつける。
燭台の灯りの下、甘い熱を帯びた青灰の目を前にすると、レティは心が痺れたように何も考えられなくなってしまう。
これからどうすればいいのか……。
もう少しじっくり考えなければならない。
レティはしばし湖を見つめた後、立ち上がって湖に注ぎ込む小川の方へと向かった。