千の夜をあなたと【完】
もともと愛のない結婚だった。
その上、妻は姦通し別の男の子供を身籠っている。
はっきり言って夫婦関係を続ける意味は既にない。
父は反対するかもしれないが、何としてでも押し通すしかない。
けれどレティは、自分のことをどう思っているのだろうか?
あの夜、イーヴはレティの心のひとかけらを手に入れた。
離れていた間、レティはイーヴを忘れたわけではなかった。
忘れられなかったからライナスとは関係を持たなかった。
それだけでも充分嬉しい。
なのに……。
――――レティの心の全てが欲しい。
ひとかけら、ではなく……
レティの心を、全て自分のものにしたい……。
想いは際限なく広がり、欲望はどんどん強くなっていく。