千の夜をあなたと【完】
レティは辺りを見回しながら森の中を歩いていた。
小川のほとりに沿ってゆっくりと歩を進める。
……こうして散歩するのは久しぶりかもしれない。
ここに到着した時は中天にあった日が、しだいに傾いていく。
レティは木陰の下を歩きながらじっと考え込んでいた。
落ち葉を踏みしめ、木の間を歩いていく。
と、しばらく歩いたところで。
「……あれ?」
いつのまにか小川が見えなくなっていることに気付き、レティは足を止めた。
辺りを見回してみても、小川らしきものは見えない。
まずい。
レティはさーっと青ざめた。
このままでは戻れない。
見ると既に陽もだいぶ落ちている。
もしこのまま陽が落ちて辺りが闇に沈んだら……。
「……っ」