千の夜をあなたと【完】




「ありえないだろ。そんなバカな……」


リュシアンは呻き、頭を抱え込んだ。

その目は昏い怒りで満ち、いつもの明るさはない。

リュシアンはしばし考えた後、顔を上げた。


「ケネス。明日の朝、ここを出てウェルシュ伯のところに出発する。馬車の準備を頼む」

「はっ」

「あと……レティも連れて行く。こうなった以上、イーヴにあいつをやるわけにはいかない」



そんな会話がリュシアンの部屋でなされていたことなど、レティとイーヴは知る由もなかった……。


<***>


< 392 / 514 >

この作品をシェア

pagetop