千の夜をあなたと【完】



翌朝。

レティは朝食を済ませた後、部屋の中の片づけをしていた。

イーヴからの贈り物は日に日に増え、今や足の踏み場もないような状態になっている。

もういいよとレティが言っても、イーヴはにっこり笑って首を振る。


『お前に拒否する権利はないよ』


いやそういうわけではなく、生活に支障が……。

と言いかけたレティだったが、イーヴの楽しげな笑顔を前にすると『要らない』とは言えない。

伯爵としてのイーヴはレティに対して全く容赦がない。

贈り物でも夜の交わりでも、イーヴはその持てる全てを使ってレティの心を手に入れようとしている。

その切ないほどの愛がレティにも伝わってくる。

けれどまだ、どうすればいいのかわからない。


レティは小さなため息をついた。

と、その時。


「レティ、いるか?」



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