千の夜をあなたと【完】



メイベルは髪を梳かし終わるとレティの髪を手早く三つ編みに結った。

そして衣装箪笥から赤い毛織のチュニックを出し、レティに着せ掛けて胸元のシュミーズの形を整える。


「さぁ、レティ様。食堂に行きましょう」

「今日って、例の薬草スープの日よね……」

「そうですよ。折角イーヴ様が姫様のために揃えてくださった薬草ですからね。有難く頂きませんと」

「……」


――――全くもって有難くない。

と言いかけたレティだったが、メイベルにぐいと手を引かれ、しぶしぶ食堂の方へと歩き出した。



< 4 / 514 >

この作品をシェア

pagetop