千の夜をあなたと【完】





キーラは二人の父、リカードの妹で二人にとっては叔母に当たる。

その隣で、小太りの紳士――トマスがどこかほっとしたような表情で口を開く。


「ケネスから話は聞いていたが、やはり実際にこの目で見るまでは信じられなくてね。君たちが無事で、本当に良かった」

「トマス叔父様……」

「さ、積もる話は山のようにあるが、まずは一息ついてくれ。落ち着いたら今後のことについて話そう」


トマスは二人の顔を見比べながら言う。

トマスは落ち着いた柔和な雰囲気で、リカードと雰囲気は対照的だが、数年前のスコットランド戦役では巧みに兵を動かし功績を残した。

――――柔和だが、それなりにやり手。そういう印象だ。

二人はトマスの言葉にこくりと頷いた。

その後、二人はジェイクの案内で各自の客室へと案内された。



< 402 / 514 >

この作品をシェア

pagetop