千の夜をあなたと【完】
あれからリュシアンとレティの行方を調べた結果、二人はウェルシュにいるということがわかった。
しかし今回の件で、リュシアンは恐らくイーヴを敵とみなしただろう。
敵とまで思ってなくても、信用ならないと思っているに違いない。
それは仕方のないことだし、イーヴも自分の迂闊さを反省している。
リュシアンの信頼を回復することが出来なければ、リュシアンはレティをイーヴに託そうとは思わないだろう。
となると、リュシアンにもう一度自分を信用してもらうしかない。
そのためには、どうすればいいのか……。
「……」
イーヴは計画書を片手に立ち上がった。
自室を出、兵舎へと向かう。
と、その時。
向かいからゼナスが歩いてくることに気付き、イーヴは足を止めた。
ゼナスはイーヴに駆け寄り、手にしていた封筒のようなものを差し出した。
「イーヴ様宛のお手紙です」
「……誰からだ?」
「それが、よくわからないのです。裏にも差出人名が書いてないので……」