千の夜をあなたと【完】
レティはリュシアンの顔をじっと見つめながら言った。
イーヴは確かに変わった。
けれどレティやリュシアンに対する気持ちは、その根本的な部分は変わってないように思う。
レティの言葉に、リュシアンはしばし考えた後、顔を上げた。
「……わかった。では、イーヴの申し出を受けることにしよう」
「うん」
「行くなら春先になると書簡には書いてある。……今は道が雪でふさがれてるから、ま、しょうがないな」
ふむとリュシアンは頷きながら言う。
レティも書簡を見つめながら胸がときめくのを感じた。
……イーヴに会えるかもしれない。
どうすればいいのか、自分の中で結論が出たわけではないけれど……。
会えるのは、嬉しい。
レティは胸の高鳴りを感じながら、じっと書簡を見つめていた。