千の夜をあなたと【完】
<side.リュシアン>
翌日。
リュシアンは兵舎で集めた兵達の訓練を行っていた。
ウェルシュはもともと山がちな地形で、あまり外敵の侵入もなかったため、平時は20人ほどしか兵はいない。
しかし今回、ティンズベリーに行くにあたりトマスは150人ほど兵の募集をかけた。
……冬季の雇用対策も兼ねて、だが。
集まったのは主に農民で、剣を持ったことのない者すらいる。
既に訓練を始めて2か月ほどが経つが、訓練の成果はイマイチだ。
と、そこに。
剣を手にしたイーヴが姿を現した。
「ここにいたか、リュシアン」
イーヴはリュシアンの前に歩み寄り、足を止めた。
その後ろからイーヴが連れてきた小隊の者たちが姿を現す。
イーヴは兵舎をぐるりと見回した後、ふむ、と口を開いた。
「……どうせなら、合同訓練にするか?」
「お、いいな、それ」