千の夜をあなたと【完】



リュシアンは頷き、兵達の訓練をストップさせた。

そしてイーヴの兵達を中に入れ、再び訓練を再開する。

……が。


「……」


リュシアンはしばらくそれを眺めた後、ぼそっと呟いた。


「あの、さ」

「……」

「あいつら、明らかに動きが違うよな? ……イーヴ、お前、あいつらに何の訓練してたわけ? あんな動き、見たことないんだけど?」


リュシアンは唖然とした顔で言う。

イーヴの兵達はリュシアンの兵達に比べて3倍のスピードで剣を動かしている。

その動きは無駄がなく、まるで暗殺者の集団のようだ。


「俺が習った剣技が速さ重視のやつだったからな。俺が教えたら、ああなった」

「……それだけで、ああなるのか?」

「あとは……そうだな。筋力を増強したり、精神を高揚させる薬を与えることもある。兵士の心理状態によって、与えるものは違うが……」


イーヴの言葉にリュシアンは背筋を仰け反らせた。

やはり頭がいい人間は考えることが違う。

この兵達が500人もいれば、ひょっとしたらウェールズ全土を征服することも可能かもしれない。

もちろん、イーヴがそんな目的で兵を訓練しているわけではないと知ってはいるが。


「さ、俺達も行くぞ、リュシアン」

「あ、ああ……」


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