千の夜をあなたと【完】
<side.イーヴ>
春の日差しが林の木々を照らしている。
イーヴは小高い山の上から屋敷の様子を伺っていた。
「まさか、こんなところから入ることになるとはな……」
二年ぶりのティンバートの屋敷を眺め、イーヴはくすりと笑った。
今、イーヴがいるのは屋敷の裏山だ。
木々の間に身を隠し、屋敷の様子を伺っているのだが……
「……門の前に主力部隊、か。まずはあいつらをここに引きずり込まないとな」
イーヴはしばらくじっと門の辺りを見つめた。
数は100人ほどだろうか。
後の50人は庭や屋敷の周りを徘徊している。
となると後の50人は、恐らく屋敷の中に配置されているのだろう。
「50人、か。……なんとかいけるか?」