千の夜をあなたと【完】




屋敷の中は兵士の足音でざわついている。

イーヴは物陰に身を潜め、辺りを見回した。


ティンバートの屋敷に入るのはあの夜以来だ。

レティを失った、あの夜……。


あの夜、ライナスに敗北したことはイーヴにとって初めての挫折だった。

知力だけではどうにもならないものがある、と心の底から思い知らされた。

しかもレティを失うという取り返しのつかない事態になってしまった。


今回は絶対に負けはしない……。

レティとの将来のためにも……。


イーヴはクームブランの柄を握り、ホールの方へと向かって走り出した。



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