千の夜をあなたと【完】
「……銃!?」
リュシアンは驚き、思わず声を上げた。
銃はまだ東方でしか作られておらず、ウェールズで見ることはめったにない。
予想もしない武器の登場にリュシアンは息を飲んだ。
「……運命の神が選ぶのは、あなたか、私か?」
言いながらエスターは引き金を引く。
リュシアンはとっさに走り出し、それを避けた。
しかしエスターは休むことなく、リュシアンに銃を向ける。
バスッ、バスッという音とともに弾が壁にめり込んでいく。
「……っ!」
リュシアンは必死に逃げたが、そもそも銃と剣では敵うはずがない。
呆然と足を止めたリュシアンに、エスターはくすりと笑い、胸元に銃口を向けた。
リュシアンはなすすべもなく、青ざめた顔で立ち尽くした。
「……どうやら、運命の神は私を選んだようですね」
「……っ」
「さて、どうしますか? あなたは……」