千の夜をあなたと【完】



<side.リカード>



――――半日後。

ティンバート伯爵リカードは、弟・ナイジェルの死体が海岸に上がったという知らせを聞き、応接室に入った。

応接室には海岸警備隊の長・ダクラスとその部下がぴしっと姿勢を正して待っていた。


「伯爵閣下、このたびは……」

「それは葬儀で聞く。ナイジェルの死体と一緒に上がった書簡とやらを見せろ」

「は、ははっ!」


ダグラスはその脂肪で緩んだお腹を揺らしながら、手にしていた書簡をリカードに差し出した。

リカードはそれを奪い取るように手に取り、広げた。

その顔がみるみるうちに強張っていく。


――――――――――――
ティンバート伯爵リカードと、その一族に告ぐ


10年前の清算をさせてもらう。

貴様達は俺の家族を3人殺した。

1人につき、ティンバート家の人間3人の命で贖ってもらう。

また貴様達が母に対してしたことを、貴様の娘に対してしてやろう。

ティンズベリーがティンバートの血で染まるまで、復讐は終わることはない。


氷眼の狂剣士
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