千の夜をあなたと【完】
セレナの目から涙が零れ落ちる。
エスターは目を見開き、セレナをじっと見つめていた。
――――二年ぶりに会う、妹。
リュシアンは妹の変化を目の前で感じ取っていた。
この変化をもたらしたのは、恐らくこの男なのだろう……。
セレナの啜り泣きが部屋に響く。
リュシアンとイーヴは無言でそれを眺めていたが、やがてイーヴが肩をすくめて口を開いた。
「……まずは、手当てをしよう。話はそれからだ」
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