千の夜をあなたと【完】
「なるほど、そういうわけですのね。侯爵令嬢であれば、イーヴ様と結婚するのに何の障害もありませんものね?」
「そのくらいの策、あいつにとっては造作もないだろう。子供がいない侯爵を捕まえて、脅すか金を握らせればそれで終わりだ」
「…………」
「ま、ほとぼりが冷めるまではすぐに結婚ってわけにはいかないだろうが。養子になって一年もすれば、問題なく結婚できるだろう」
リュシアンは笑いながら言った。
セレナも目を細め、嬉しそうに笑う。
リュシアンとセレナはお茶を挟み、久しぶりの兄妹の会話を楽しんだ。
――――しかし、ちょうどその頃。
ウェルシュで、レティがイーヴとの将来についてひどく思い悩んでいたことを……
リュシアンもセレナも、そしてイーヴも知る由もなかった……。
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