千の夜をあなたと【完】
6.二つに一つ
<side.イーヴ>
その日の午前。
イーヴはウェルシュに続く街道を馬で駆けていた。
本当は馬車でもいいのだが、できるだけ早くレティに会いたいという想いがイーヴに馬を駆らせていた。
ウェルシュの街に入り、トマスの屋敷の門をくぐる。
イーヴはそこで馬を下り、馬舎に馬を繋いだ。
レティは部屋にいるだろうか?
イーヴはそのままレティの部屋へと向かった。
ドアの前で軽くノックする。
しかし返事がない。
イーヴはそっとドアを開けた。
「……レティ?」
イーヴは部屋の中に入り、見回した。
レティの姿は見当たらない。
どこかに行っているのだろうか?
と窓の方を見た、その時。