千の夜をあなたと【完】
「……レティ」
「……」
レティは何も言えず、ただイーヴを見つめていた。
イーヴはひとつ息をつき、口を開く。
「お前にちゃんと言ってなかったのは、俺にも責任はある。でも、お前もなぜ俺に聞かない?」
「……イーヴ?」
「俺は、お前が聞いてきたら正直に話すつもりだった」
イーヴは言い、レティの背に腕を回して抱きしめた。
レティの髪に頬を埋め、切なげな声で言う。
「どうしてお前は何も言わない? 何も聞かない?」
「……」
「どうして……っ」
イーヴは肩を震わせ、背に回した手に力を込める。
レティは体越しにイーヴの切ない感情が自分の中に流れ込んでくるのを感じた。
じわりと胸が熱くなる。
レティはそれに押されるように、口を開いた。