千の夜をあなたと【完】
10月。
秋風が紅葉した森の木々を揺らし、吹き抜けていく。
この日、レティのもとに懐かしい人達が訪れた。
セレナとアマンダだ。
ちなみにイーヴは二か月に一度ほどの間隔でレティを訪れる。
ブラックストンの後継ともなるといろいろ忙しいらしい。
「久しぶりね~、レティ! 元気だった!?」
アマンダがレティに抱き着くように肩に手を回す。
レティはアマンダを軽く抱き返したあと、そっと体を離してアマンダの顔を見た。
その顔は幸せそうで、頬が紅潮しとても可愛らしい。
アマンダは二か月前、リュシアンと結婚した。
二人の結婚式にはレティも出席した。
――――レティシア・マリア・フレイとして。
アマンダはにっこりと笑い、レティを見る。
「前に比べて、顔色が良くなってきたわね? 愛の文通のおかげかしら?」
「……っ、アマンダっ!」
「あ~、幸せそうね、いいわねー」
「新婚ホヤホヤのアマンダに言われたくないんだけど……」