千の夜をあなたと【完】
12月。
レティは屋敷の窓から湖の景色を眺めていた。
この辺りは山深いため、既に雪が数センチほど積もっている。
年が明ければもっと雪が積もり、道は雪で遮断される。
……と、窓のさんに手を掛けた時。
ドアがコンコンとノックされ、メイドが姿を現した。
「レティ様。ハワード様がお呼びです」
「……え、ハワード様が?」
「はい。下の居間でお待ちでらっしゃいます」
メイドはぺこりと一礼し、笑顔と共にドアをぱたんと閉じる。
レティは首を傾げながら一階の居間へと向かった。
居間に入ったレティは、長椅子に座ったハワードの向かいに腰を下ろした。
その前に置かれたテーブルには書簡が置かれている。
ハワードは目尻の皺を寄せて笑い、口を開いた。
「イーヴリオン殿からの書簡だ。見てみたまえ」
「……」