千の夜をあなたと【完】
レティの胸に喜びが湧き上がる。
レティはハワードと今後のことについて話した後、自分の部屋へと戻った。
するとちょうど、エインセルが窓のさんに留まっていた。
慌てて駆け寄り、足についていたメモを外す。
レティはメモをくいいるように見つめた。
イーヴの手紙にはこう書かれてあった。
『そろそろあの書簡が着いた頃だろう。お前に何も言ってなかったのは悪いと思うが、筋を通す必要がある。お前は今、フレイ侯爵の娘だからな』
……そして、その後ろに。
『もう待てない』
一言だけぽつりと書かれた文字。
レティはそこにイーヴの気持ちが込められている気がして、胸が熱くなるのを感じた。
視界が滲んでいく。
レティはすんと鼻を鳴らし、手紙をそっと懐にしまった。