千の夜をあなたと【完】

8.千の夜をあなたと




――――そして、12月の下旬。


クリスマスを翌日に控えた日。


レティとイーヴは参列者が大勢見守る中、神の前で誓いの言葉を交わした。

グロスターの中心にあるその教会はティンズベリー教会より遥かに大きく、荘厳な雰囲気に包まれている。

前日の夜、式次第をイーヴに徹底的に叩き込まれたお蔭でレティは動じることなく式に臨むことができた。

式にはリュシアンやアマンダ、セレナ、メイベル、そしてハワードも参列している。

誓いの言葉の後、神父が二人の結婚を宣言し、式は滞りなく終了した。



――――式の後。


控室に戻ったレティはドレスの裾を抓み、静かに長椅子に腰かけた。

ドレスは深緑色で、レティの栗色の髪によく映えている。

レティは自分の左手の薬指に嵌められた指輪をまじまじと見た。

……繊細な銀の指輪。

結婚の証。


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