千の夜をあなたと【完】
――――夜半過ぎ。
月明りに揺れる、二つの影。
揺蕩うような優しい快楽と、燃えるような激しい快楽を幾度となく味わった後……。
二人は互いの背に腕を回し、そっと口づけた。
二人の唇の間で生まれる、優しい微熱。
イーヴの手がそっとレティの髪を撫でる。
レティはそっと目を開け、イーヴの瞳を見た。
物憂げな美しい青灰色の瞳は今、愛しさと優しさを帯びてじっとレティを見つめている。
レティは吸い込まれるようにその瞳を見つめていた。
離れていた間もずっと忘れられなかった、その瞳。
脳裏に焼き付いていた、その瞳……。
――――誰よりも何よりも、愛しい人。