千の夜をあなたと【完】
レティは思わず目を潤ませた。
……その時。
ドドーンという音とともに雷鳴が響いた。
レティは思わず両耳を塞ぎ、叫んだ。
「キャ――――ッ!!」
外にいるせいなのか、いつもより雷が近く感じる。
レティは一瞬でパニックになった。
「い、いやっ、……キャ――――ッ!」
「うるさい! 雷ごときで騒ぐんじゃない」
イーヴはぐいとレティの腕を掴み、丘の方へと歩き出そうとした。
しかしパニックになっているレティはなかなか歩き出そうとしない。
「い、いやっ……!」
「ほら、行くぞ!」
イーヴはレティの腕を引こうとする。
……が、レティはそれでも動こうとしない。
イーヴははぁとため息をつき、レティの腕を離した。