千の夜をあなたと【完】
イーヴはくすっと笑い、レティの顔を正面から覗き込む。
艶を帯びた、優しく熱い青灰の瞳に心が吸い寄せられる……。
「……おいで、レティ」
言葉とともに、レティの髪に差し込まれた指に力が入る。
イーヴの腕が背に回り、レティの腰を強く抱き寄せる。
頬に押し付けられたイーヴの胸の感触に、レティは思わず息を飲んだ。
思っていたよりずっと、逞しくて広い胸。
イーヴの体から漂う薬草とハーブの香りが、レティの心を落ち着かせていく。
イーヴは宥めるようにレティの頭を優しく撫でる。
その優しい指先から伝わってくる、慈しむような優しい感情。
レティはイーヴの腕の中で自分の涙腺が壊れていくのを感じていた……。