千の夜をあなたと【完】
この妹と離れると思うと、レティの胸にも切なさが込み上げてくる。
レティはセレナの頭に手を伸ばし、そっと撫でた。
「きっとセレナも、来年の今頃には嫁いでるわよ。ケヴィン様のところにね?」
「お姉様……」
「グロスターに行っても手紙書くから。セレナも手紙ちょうだいね?」
「も、もちろんですわ、お姉様……っ」
セレナの目にじわっと涙が滲む。
その瞳を見つめていたレティの胸もしんみりと痛む。
ブラックストンに嫁いだら、こうしてセレナと話すこともなくなるのだ……。
そう考えると、今から寂しい。
レティは指を伸ばし、セレナの目尻に浮かんだ涙を指先でそっと拭った。