千の夜をあなたと【完】



この妹と離れると思うと、レティの胸にも切なさが込み上げてくる。

レティはセレナの頭に手を伸ばし、そっと撫でた。


「きっとセレナも、来年の今頃には嫁いでるわよ。ケヴィン様のところにね?」

「お姉様……」

「グロスターに行っても手紙書くから。セレナも手紙ちょうだいね?」

「も、もちろんですわ、お姉様……っ」


セレナの目にじわっと涙が滲む。

その瞳を見つめていたレティの胸もしんみりと痛む。

ブラックストンに嫁いだら、こうしてセレナと話すこともなくなるのだ……。

そう考えると、今から寂しい。

レティは指を伸ばし、セレナの目尻に浮かんだ涙を指先でそっと拭った。


< 74 / 514 >

この作品をシェア

pagetop